2026年2回目のコラムは、2027年半ばころに改正が予定されているシンガポールのNutri-Grade制度についてお話しようと思います。
シンガポールでこれまで飲料(清涼飲料水や乳飲料)のみに限定されていたこの格付け表示制度ですが、2027年半ばに「食品」の領域へと適用範囲を拡大することとなりました。
本稿では、2027年半ばに施行される改正の概要とNutri-Gradeの作成実務(計算ロジックなど)について、2回に分けてお伝えする予定です。
第1回目の今回は新Nutri-Gradeの概要について、お話してみたいと思います。
シンガポールで、飲料のパッケージに「A・B・C・D」のラベルが貼られている光景は、2022年12月30日の施行から約3年を経て、だいぶ定着してきているように思われます。このNutri-Grade制度ですが、国民の健康維持、特に高血圧や心血管疾患の抑制を目的として、2027年半ばより「食塩・ソース・調味料・即席麺・食用油(SSSIO)」へと対象が大幅に拡大されることとなりました。
1. 改正のポイント:対象品目の大幅な拡大
今回の改正で最も注目すべきは、その適用範囲です。今まで飲料のみの適用であったものが、以下の5つの主要カテゴリー(計23のサブカテゴリー)へと対象範囲が一気に拡大することとなりました。
- 食塩および食塩代替品
- ソース類(醤油、オイスターソース、ケチャップ、マヨネーズ等)
- 調味料・スパイス(シーズニングミックス、スープの素等)
- 即席麺(カップ麺、袋麺)
- 食用油
これにより、飲料にプラスして、日本からの輸出も多い「醤油」や「だし」、「インスタントラーメン」が、この格付けの対象範囲に含まれることとなります。
※なお、23のサブカテゴリーは上記5つのカテゴリーをさらに細分化したもので、実務上はHPB公表の「Specifications on Nutri-Grade extension to key contributors of sodium and saturated fat」の一覧で、自社製品がどの定義に該当するかの確認が必須になります。
【Specifications on Nutri-Grade extension to key contributors of sodium and saturated fat】
URL: specifications-on-nutri-grade-extension-to-key-contributors-of-sodium-and-saturated-fat-(final).pdf
2. 「ナトリウム」と「飽和脂肪」が評価軸に
これまで飲料では「糖分」と「飽和脂肪」が採点基準でしたが、新制度では「ナトリウム(食塩相当量)」が格付けの中心となります。
製品は成分含有量に応じてAからDの4段階で格付けされますが、注意しなくてはならないのは「最も低い評価の栄養素が、製品全体のグレードになる」というルールです。例えば、糖分がA評価でも、ナトリウムがD評価であれば、その製品は「D」となります。
さらに、今回の改正から導入される新ルールとして、「なぜそのグレードになったのか(懸念される栄養素)」をラベル内で明示(コールアウト)することが求められます。これにより、消費者側では「このソースは塩分が高いからDなんだ」と一目で理解できるようになります。
3. 実務上のリスク:グレードDの「広告禁止」
さらに実務担当者が留意すべきは、「グレードD」判定を受けた製品に対する厳格な広告規制です。
グレードDに分類されると、テレビ、SNS、屋外広告など、シンガポール国内でのあらゆるメディアでの広告が禁止されます。また、グレードCおよびDについては、パッケージ前面へのラベル表示が義務付けられます(AとBは任意)。
日本の高品質な製品であっても、塩分が高いだけで「健康に悪い食品」というリスクを想定し、ブランド戦略を見直す必要も出てくるかもしれません。
4. 今後の対応
2027年の施行に向けて、実務のご担当者様は以下の2つのステップで動く必要が出てきそうです。
- 現行製品のシミュレーション: 自社製品が23のサブカテゴリーのどれに該当し、現在の成分値でどのグレードになるか、HPB(保健促進局)の基準に照らして早期に判定する。
- ラベルデザインの先行準備: 輸出用専用パッケージを作成しているのでしたら、Nutri-Gradeラベルの挿入はパッケージデザインを大きく左右します。在庫の回転と切り替え時期の調整が不可欠です。また、ラベルで対応されている場合でも、新規デザインの制作と準備期間にはそれなりの時間が必要と思いますので、早めの準備が不可欠でしょう。
まとめ
シンガポールの規制は、周辺のアジア諸国が追随する「先行指標」となることが多々あります。将来的な周辺各国への波及も含め、将来を見据えた対応を検討する機会になるかもしれません。
いずれにしましても、新規のラベル対応には調査機関も含め、相応の時間を必要とするものと思われます。早めのご準備をお勧めいたします。
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